忍者ブログ
睡眠は大事(キリッ
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
プロフィール
HN:
此糸シキ
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
カウンター
[49]  [48]  [47]  [46]  [45]  [44]  [43]  [42]  [41]  [40]  [39
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

APHの英が米を吹っ切るというか、なんというか・・・そんな感じのシリアスなシリーズの話です。続きます。
1話ごとは短めの、短編連作みたいにできたらなあと。
全部書き終えたら移動します。

英→米は完全に家族愛。米→英は・・・まあ、お好きに解釈すればいいんじゃないでしょうか。
このシリーズはCP色は無いといえば無いけれど、あると思えばある感じです。苦手な方注意。


あ、お題をhttp://fluid.hiho.jp/ap/index.htmlさんから借りてきてます。


空は快晴。目に痛いくらい眩しく輝く太陽と、あまりにも鮮やかに広がる青色。
自国では滅多に見ることができない光景に、アーサーは目を細めた。
 
「アーサー!」
 
己の名を呼ぶ声に振り向くと、草原を駆ける幼子がひとり、こちらに向かって走ってくるのが見えた。
その子は勢いを殺す、なんてこと考えてもいないのだろう。衝動のままに自分の出せる全力で走って走って、そうして思い切り目の前の男に抱きついた。彼がその二本の腕で、自分をしっかりと抱きしめて、受け止めてくれると知っていたから。
 
「まったく、アーサーってばおそいんだぞ!待ちくたびれたんだぞ!!」
「悪かったよ、だからほら、お詫びにお前が喜びそうなものを持ってきてやったぞ」
「わああ!なあに、それ!ね、なあに?」
「落ち着けって、これはな――」
 
優しく弟の頭を撫でながら丁寧に教える兄と、兄の話に顔を輝かせる弟。その表情を見て、兄はふっと柔らかい笑みを浮かべる。
 
「とりあえず、一旦家に行かないか?絵本だって、読んでやってる途中だったよな?」
「あーっ!そうなんだぞ!ずっとずっとつづきが気になってたのに、アーサーがとちゅうで帰っちゃったりするから」
「だから悪かったって言ってるだろ。今日はちゃんと最後まで読んでやるから」
「うん、やくそくだよ!」
「ま、お前が先に寝ちまわなければの話だけどな」
「そ、そんなことぼくしないんだぞ!」
「はいはい」
「アーサーってば!!ほんとに、ほんとにしないんだからね!」
 
必死に言い募る子供を、アーサーは幸せそうに見つめた。
優しくて、元気で、可愛くて、無邪気で、ちょっぴり泣き虫で、そしてなにより幸せそうな子供。
そんな子供を、自分が育てられたのだと、育てているのだと。そう思うと、とても嬉しくなる。
きっと、自分は間違っていなかったのだと。今まで歩いてきた道は、このためにあったのだと。そう、思えるから。
 
だから、子供はみんな、こうやって育ててあげよう。
手探りだけれど、不器用だけれど、それでもありったけの愛情と、誠意と、優しさと、それから、それから――とにかく思いつく限りの全てを注いで、愛してあげよう。
そうすれば、きっと、みんなこういう風に育ってくれる。
きっと、幸せそうに――
 
(そう、それらすべてに餓えていた自分とは違って)

 
ひそりと、誰かが囁いたような気がして、ふと振り返る。視線の先には誰もいない。
まあ、当たり前かと視線を戻すと、意識を持っていかれて不貞腐れた子供がアーサーの名前を呼んでいる。その子を抱きしめて、宥めて、そうして幸せだなあと思った。なんて素敵で、充実した時間なんだろうか。
 
なんて幸せなんだろう。うっとりと頭の中で呟いた。
なんて幸せなんだろう。じっとりと頭の中を諭した。
 
Keep out. Keep out.
ここから先は入っちゃあいけないよ。
 
そう記された紐をぐるぐると巻きつける。
入っちゃいけないよ。近づいちゃいけないよ。触っちゃいけないよ。開けちゃ、いけないよ。
だって「これ」は、パンドラの箱とは真逆なんだから。
 
希望だけでいいだろう?今、幸せなんだろう?
 
 
うん、と彼は頷いた。
今幸せだから、この希望さえあればいいよ。
 
 
君を好きだと想えなくなったらこの世界から消え去りたい
(知っているよ。識っているよ。本当は世界は綺麗なんかじゃないって。ならば君が美しく見えない世界になんて、いても何の意味があるんだい?)

拍手[2回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]